ゲーム理論|どのような理論で何に活用されているのか?|囚人のジレンマを例に

こんにちは、Ysです。

今回は「ゲーム理論」です。

その中でも有名な「囚人のジレンマ」について取り上げ、ゲーム理論とはどういうものかについて書きます。

ゲーム理論、囚人のジレンマ、言葉は聞いたことあるけど、結局何のことかわからないという方はぜひ読んでみてください。

私も少し前まで単語しか知らなかったので入門書を何冊か読みました。

 

「ゲーム理論とは何?」

「どのようなところで活用されている?」

「囚人のジレンマの何がジレンマ?」

それぞれについて説明していきます。

 

ゲーム理論とは

・ある主体の意思決定の結果を予測する
・複数プレーヤーの意思決定を分析する
・プレーヤーは人に限らない

 

「相手の行動を予測してこちらの行動を決める」ということをそれぞれが行ったら結果どうなるか。

これを数学を用いて分析するのがゲーム理論です。

オセロ、チェスなどのいわゆるゲームだけがこの理論の対象ではありません。

恋愛や価格交渉などの人間同士の駆け引き、企業同士のM&Aや入札、国家間の貿易交渉や軍備競争などもゲーム理論の対象です。

ゲームと名付けられた由来は「お互いが相手の行動を読みながら自分の行動を決めるところがあたかもゲームをしているかのようだから」だそうです。

 

囚人のジレンマ

囚人のジレンマとは「ある2人の犯罪者がそれぞれもう1人の犯罪者の行動を考えながら自分の行動を決めたらどうなるか」という話です。

まずは以下の問題設定を確認しましょう。

 

重罪を犯した2人の犯罪者がいる。

2人ともその重罪の犯人であると疑われている。

しかし2人が犯人である証拠はない。

ある日2人が重罪とは別の軽い罪で捕まった。

2人の重罪を疑っている警察は以下の話を持ちかけ、重罪について「黙秘する」か「自白する」かを2人に選択させた。

「2人とも黙秘すれば、軽い罪の処罰しかできないので2人とも懲役1年にする。」

「1人だけが黙秘しもう1人が自白すれば、黙秘した方は懲役25年で自白した方は処罰なしで釈放する。」

「2人とも自白した場合は2人を懲役5年にする。」

※ ただしAとBは相手がどちらを選択するか確実に知る方法がなく、会話できない状況にある。

 

問題設定の確認

さて、いかがでしょうか。

犯罪者はそれぞれ「黙秘」「自白」を選択できます。

そして2人の選択の組み合わせによって結果が変わります。

よって2人は相手がどちらを選択するか考えて自分の選択を決めます。

そう、この問題はまさにゲーム理論の対象ですね。

 

2人にとって最も合理的な選択の組み合わせはそれぞれ1年、2人合わせて2年の懲役で済むよう「2人とも黙秘」です。

しかし、犯罪者がお互い相手の行動を予測し、自分にとって合理的な決断をしようとすると、実はそうならないのです。

ここからはゲーム理論の考え方に従って整理していきます。

 

犯罪者の意思決定を分析

犯罪者2人を犯罪者A、犯罪者B(以降A、B)とします。

AとBはそれぞれ相手の行動を予測し、自分の行動を決めます。

まずはAからです。

AはBの行動を予測しますが、Bの行動を確実に知る手段がありません。

そのためBが黙秘と自白どちらも選択し得ると考えます。

「Bが自白する場合、黙秘すると25年で自白すると5年」

「Bが黙秘する場合、黙秘すると1年で自白すると釈放」

AはBがどちらの行動を選択したとしてもより安全となるような選択をしようとします。

黙秘すれば25年もしくは1年、自白すれば5年もしくは釈放。

よって「自白」がAにとって合理的な選択となります。明らかに「自白」がお得なのです。

 

次はBですが、BもAと条件は同じです。

よってAと同様のアプローチで「自白」を選びます。

 

分析の結果

2人とも自白し懲役5年の刑となります。

おかしいですよね。2人にとっての最適な選択は「2人とも黙秘」であるはずです。

相手の行動を予測して自分にとって最も良い行動を選んだにも関わらず、2人にとっての最適解にはなりませんでした。

これが「ジレンマ」です。

相手の選択を予測し自分にとって合理的な選択をしても、双方にとって合理的な選択にはならないということです。

仮に2人にとって最も良い選択が「2人とも黙秘」だと分かっていたとしましょう。

しかし「これを逆手に相手を裏切って自白すれば自分は釈放になれる」と相手が考えるかもしれません。それぞれがこれを考えるとやはり相手がどちらを選択するかはわからないのです。

お互い犯罪者ですし。

(ちなみにこの問題では囚人の性格や2人の関係性などは考慮しません。あくまで定量的に合理的に判断することが前提です。)

以上が囚人のジレンマに関する話でした。

 

ゲーム理論における社会的ジレンマ

この「ジレンマ」は囚人の問題に限りません。

環境問題や企業間の価格競争など身近なところでも実際に起こっており「社会的ジレンマ」として扱われています。

ちなみに囚人が今回選択した結果、つまり「プレーヤーそれぞれが相手の行動を予測し合理的な選択をした場合のその意思決定の組み合わせ」をゲーム理論では「ナッシュ均衡」と言います。

ゲーム理論では「ゲームには必ずナッシュ均衡が存在し、ゲームの解はナッシュ均衡になる」とされています。

 

最後に

いかがでしたでしょうか。

たまに耳にするキーワードを「全く知らない」「言葉しか知らない」から「何となくわかった。」「知ってるよとドヤれる」に変われば良いかなと思って書いてみました。

説明した通り、ゲーム理論やナッシュ均衡や社会的ジレンマは私たちの身近にあるものです。

ちょっとした駆け引きや相手と自分がいて損得が出てくるような場面で「これはジレンマかもしれない」と思ったら、自分にとっての合理性だけでなく、双方にとってのベストアンサーを探り、相手に提案してみるということができれば良いかもしれませんね。

 

最後まで読んで頂きありがとうございました!

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